オバマ氏晩餐会の食卓に出せ」沿岸捕鯨延期に強硬論も 「判決」配慮、苦肉の策
2014.4.18
11:13 [捕鯨]
政府は22日に予定していた北西太平洋の調査捕鯨を延期した。日本の南極海での調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反と認定したICJの判決を受け、従来の手法を継続すれば反捕鯨国の提訴で再び敗訴する可能性が高いと踏んだからだ。一方で、捕鯨継続を唱える国内世論に配慮する必要もあり、短期間の延期の間に反捕鯨国の提訴に太刀打ちできるような科学的根拠に裏打ちされた新計画を策定するという“苦肉の策”を強いられた。(比護義則、力武崇樹)
判決の効力は北西太平洋の調査捕鯨には及ばないが、判決は日本が新たに調査捕鯨の許可を出す場合は「判決に含まれる理由付け、結論を考慮すること」と言及。外務省などで現行方式のまま北西太平洋での調査捕鯨を強行すれば判決に抵触するとの見方が強まり、当面の延期を決めた。
だが、こうした政府の判断に自民党捕鯨議連の17日の総会では不満が続出。浜田靖一元防衛相は「やる気がないなら『やる気がない』と言え」と水産庁幹部に声を張り上げ、二階俊博元経済産業相は米国が反捕鯨国であることを念頭に「来日するオバマ米大統領の晩餐(ばんさん)会の食卓に鯨を並べてほしい」とけしかけた。
水産庁は総会で反捕鯨団体からの妨害行為に対応する警備態勢の不備を延期の理由に挙げたが、これまでの沿岸調査で妨害行為を受けたことはなく、説得力は乏しい。
実際は、捕獲枠より少ない捕獲数しかない点を「科学的研究の条件を満たさない」と否定したICJ判決に対応すべく、捕鯨計画の抜本的変更作業を余儀なくされた側面が大きい。23日のオバマ氏来日直前の出港で反捕鯨国側の注目を集めるのは得策ではないとの判断も、「仕切り直し」の決定を後押ししたとみられる。